2013年5月3日金曜日

心象楽園舞台概要3及びあとがき

 ネタバレを大量に含みます。全話閲覧後ご覧になる事をお勧めします。




 この度は、長い連載の中、心象楽園にお付き合いいただき、誠に有難うございます。
 書き始めたのは2012年の10月、ほぼ完成したのが2月ですので、実質四カ月、狂ったように書いておりました。
 同人小説は幾つも出していますが、オリジナル作品はまさに十年ぶりほどですので、自分に長編を書き切るだけの力があるかどうか不安でしたが、人様に読んで頂けるだけの物が出来て大変安心しました。
 あまり堅苦しいあとがきも何ですので、適当に色々とキャラの話とかします。


 ・欅澤杜花
 ・誕生日 10月3日
 ・身長175cm
 ・体重 60kg
 ・B94 W 63 H 89
 ・趣味 料理、鍛錬、可愛い洋服集め(非公開)、市子弄り
 ・特技 格闘技、武術全般(欅澤神道無心流皆伝、柔術、合気道、レスリング、居合、薙刀)
 ・好きな食べ物 鶏肉全般(胸、ササミ)、イチゴショート
 ・嫌いな食べ物 無し

 格闘怪物。御姉様(物理)巨女一歩手前。
 物語開始時点で人の物であり、市子亡き事を悲しみながら生きている、既に終わった人間です。
 ライトノベルとして、読者にあまり共感出来ない、居てはいけない主人公として書きました。なので査読の段階から「なんかふわふわしてる」とか「大丈夫なのこれ」という言葉を貰ったりしましたが、まあそこは趣味小説なので許してほしいです。

 本人は認めていませんが、女性以外に性興奮を覚えない生粋のレズビアンの上に、冒頭から人格が破綻気味なので市子、二子、アリス、早紀絵、他数人、杜花と親しい子以外は塵芥としか思っていない節があります。エピローグ後は改善された様子ですが、それでもあまり他人の命を重視してはいません。リスクがあるならまず見捨てます。
 彼女は正義の味方でも秩序の安定を望むような性格でもありませんので、その行動原理は全て自分(市子)の基準に沿う、究極的なエゴイストです。(勿論、他人を心配するフリをしたりして、擬態はしています)

 立ち歩きし始めた頃から、早速花に酷い扱きを受けて育ちました。真っ当な育てられ方は一切されておらず、自分にも他人にも価値なしという考えでいた為、もはや虐待について考える事も止めていました。市子と出会ってからというもの、それがどれだけ異常だったのかに気が付き、花と、花に逆らえなかった杜子、口を一切出さなかった祖父と父、家族丸ごと憎悪しましたが、市子がいれば何でもいい、という状態にあったので、家族間の悲劇を招く事はありませんでしたが、その育まれた恨みは恐らく一生消えませんし、今後も普通の家族のフリはしても、一切家族のなんたるかに踏み込もうとはしないでしょう。(杜子、四季彦、八雄は杜花による報復を恐れているらしく、花の観ていない所での杜花への接し方は過保護を通り越して過保護)
 虐待されて育ち、市子以外に価値を見出せなかった欅澤杜花が、一応の人間に近づくまでのお話、という事になるでしょうか。

 作中殆ど説明はありませんが、彼女の能力についてです。
【七星特殊性脳科学研究所基準 未来予知 ESP強度B+(限定A+)】
 七星の手で脳改造手術を受けています。七星がESP能力研究を進める中でも、これは既に技術が確立して長い時間の経ったもので、人体影響の少ない反応高速化手術自体は、民間にも利用されています。ただこれを受けると、正式なスポーツ競技や、影響の考えられる物事には参加不能になります。
 本来はESPの類ではなく、脳改造による伝達速度の高速化に留まるものでした。欅澤杜花に施されたものは中程度の反応高速化手術でしたが、しかし杜花自身のポテンシャルの高さ、日々の鍛錬から、幼いながらに既に七星の予測していた領域を飛び越えていました。
 反応高速化どころか、自身に被る被害を予測して危機回避する、という別種のESPに進化している様子です。
 特に感応干渉の酷い影響下に居た為か、物語後半にはESP強度が破格とも言える程強まっており、兼谷戦に至ってはほぼ未来予知にまで達しています。
 それだけ出来ても反応出来なければ意味は無いのですが、杜花の場合鍛え方が違いました。特に自身の被る危機に関しては過敏で、遠くで起こる物事、自身が将来被るであろう被害まで見えるようになっています。
 自分の事しか考えてませんが、一応不正は嫌いなので、今後試合などに出る事はないでしょう。

 通称仙台ちゃん。


 ・満田早紀絵
 ・誕生日 8月14日
 ・身長163cm
 ・体重 45kg
 ・B73 W 52 H 76
 ・趣味 女の子
 ・特技 女の子
 ・好きな食べ物 フレンチトースト、カツカレー、女の子
 ・嫌いな食べ物 ピータン

 作者一番のお気に入り。寛容な彼女は、相手が余程アレでない限り大体を受け入れます。
 杜花、アリス同様メソッドプログラム及び遺伝子組み換え被験体なので、杜花に対する愛情を疑いもしたでしょうが、誰でも大概愛せてしまう彼女にとっては瑣末な問題でしょう。

 小学四年生で観神山女学院に転校して来た彼女ですが、それまでは地方の小さな学校に通っていました。まさしく女王の振る舞いで、この時から既に、自分の気に入った同級生に対して性的な悪戯を繰り返していました。暴君極まり、教師は教師と思わず、他の大人も見下し、正しく畜生の様相です。
 杜花による教育(物理)が、どれだけ満田早紀絵を(性癖は別にして)真人間に戻したかが伺えます。
 以降はだいぶ改善し、持ち前の明るさを良い方向へと向けた為、明るく元気で笑顔の素敵な子、というイメージが定着しました。

 彼女だけ転校生なのは、組岡きさらになりえる人物が途中まで決まらなかった為です。十数人(存命中で同年代だけを数えた数字)いる組岡きさらの遺伝子組み換え、メソッド済みの中でも、数値的に一番近似したのが早紀絵でした。杜花、アリスとは質が違う立ち位置にいる為、七星も人選に難儀した様子です。

 基本的に自分に自信があります。頭も良く、何事も感情で即座に判断したりはしませんが、多少過信する部分もある様子です。ただ彼女の行う他者に対する分析や感想は的を射ている事が多く、作中でも大きく間違った判断はありませんでしたが、相手が悪かった。

 好きなものは全部手元に置きたい、というのは幼少の頃からかわっておらず、杜花、アリス等が居たとしても、彼女は他の子達に手を出します。責任感は強いので、手を出した相手に対して、相手が許容するならばいつまでも養う覚悟でいます。

 力も能力も有りませんが、それゆえに等身大の人間として据えられています。彼女が探偵役であるのも、欅澤杜花があまりにも主人公に不適格である故でありますし、杜花のバイアスかかった世界の見方では視野が相当せまくなってしまうので、彼女はなるべく客観的に外側から物事を見据えるようになっています。


 ・天原アリス
 ・誕生日 5月20日
 ・身長165cm
 ・体重 47kg
 ・B82 W 54 H 83
 ・趣味 読書、健康体操
 ・特技 速読、暗記
 ・好きな食べ物 白米、馬刺し、豚汁
 ・嫌いな食べ物 オートミール、シリアル

 本編ヒロイン。作中、一番女の子です。彼女は難攻不落の欅澤杜花と、ハマったら抜けられない泥沼のような満田早紀絵の狭間で、城の石垣を昇りながら泥沼を這いまわりながら神に祈りを捧げるという、何とも不憫な立場にありました。

 彼女は最初から観神山女学院の生徒で、体裁上は七星市子のパートナーです。勿論七星は実験を成功させるつもりではいましたが、失敗して市子と杜花がどうにもならなかった場合、保険としてかなり有力な人物であるとされていました。

 市子がいなければ、間違いなく観神山一番の顔であり、御姉様として遺憾なく力を発揮した事でしょうが、乙女な彼女が一筋縄でいくはずもありません。

 冷静なフリはしていますが、大体常に先の事も考えて頭を悩ませているので、我の強い人達が己を突き通そうとする中、かなり翻弄されています。自分で何かして主導しようと思い立ったお泊まり会も功を奏さず、貴女の為なら何でもすると言った人には裏切られ、しかしそれでもなお杜花を信じようとする姿は、一度は兼谷の手に落ちましたが、ちょっと普通ではありません。
 安定を好み、あまり物事を大きくするのは好ましく思っていません。杜花の持ち上げに関しては、殆ど杜花の為とも言えます。市子亡き後明らかに自分を失っている杜花をどうにか持ち上げて、外に目を向けさせようと考えた結果、やはり辛くとも御姉様という立場におさまっていた方が彼女の為になる、と考えての行動でした。
 
 市子が亡くなった際、相当に落ち込んではいましたが、現実主義な彼女はそれはそれと受け止め、決して周りに影響を与えないようにと努める強さがありました。市子を失って人間として破綻した杜花と、市子亡き後の杜花を掠め取るという罪悪感に苛まれる早紀絵とは、また違った視点で全員を見渡していました。
 恋心を押し込めてまで死者に配慮するような人間でもないので、杜花と早紀絵に対する想いを正面から受け止め、実行に移る辺りは杜花、早紀絵同様かなり我の強さが伺えます。

 自己犠牲が強く、好きな人の為に平然とその身を投げうちます。彼女は頭からつま先までヒロインです。


 ・七星二子
 ・誕生日 1月1日(恐らく)
 ・身長135cm
 ・体重 32kg
 ・B65 W 44 H 62
 ・趣味 思考介入、考察、クラシック鑑賞
 ・特技 運動以外大体何でも出来る
 ・好きな食べ物 携帯栄養食(フルーツ味)
 ・嫌いな食べ物 牛肉

 本編ヒロイン2。物凄く不憫な子でした。市子の語る理想としての欅澤杜花に対する恋慕と、死した姉に対する気持ち、そして七星の策謀に押し込められながら、何でも知っているつもりで結局何も知らなかった、というピエロにされてしまった子です。

 一番最初から全ては七星の所為である、と開示されている以上、彼女は最大のギミックでありリスクでした。しかも感応干渉などという能力がある為、二子に対して嘘偽りが殆ど通じない為、他の人物達、特に杜花は二子を警戒していた訳ですが、結晶の植え替えによって市子に近づく中、杜花もまたそれに反応するようにして心を許してしまう場面があり、頭を悩めたものです。

 遺伝子こそ一郎と兼谷のものですが、一郎の愛人を母体として産まれており、直前まで自分が何者なのかは知りませんでした。京都の座敷で監禁されながら、京都の研究所を行き来するという生活は、彼女の性格を歪めるに十分ではありましたが、ネット上での市子とのコミュニケーションが、辛うじて二子を人にとどめました。

 観神山女学院に転校してくるまでは京都のお嬢様学校に籍を置いていましたが、一度も登校していません。そもそも市子と違ってESPの発動、操作が不完全であった為、殆ど表に出る事もありませんでした。出るとしても、それこそ研究員を引き連れ、感応干渉による干渉抑止可能な兼谷及びそれに類似したESPデータを保有したお付きがついてやっと外出可能なレベルです。

 市子との接触で精神的に安定してやっと能力も安定しましたが、人の頭を覗くのが慣習化しており、杜花にしか殆ど用いなかった市子に比べると、かなり無差別無作為に頭を覗いていました。
 それゆえに、市子の存在は大きく、市子を占有した杜花に対して、複雑な感情を抱いていました。

【七星特殊性脳科学研究所基準 他者感応干渉(万能型幻視特化) ESP強度A】
 他者感応干渉には種類があり、二子は万能型幻視特化と分類されます。発動範囲は一人から周囲数人。幻覚を見せるのが得意で、平気で相手の認識を欺きます。二子は研究所で様々な実験に用いられ、過去言葉にする事も憚られるような事故を何度か起こしています。
 また記憶改竄、思考介入も得意で、故に万能型です。殆ど自己にのみ作用する先見能力とは質が違います。

 ただ、酷い能力ではありますが、七星の執拗なESP研究の恩恵は老人性痴呆や心的外傷、脳や記憶にまつわる人間の障害を取り除くのに役立っており、全てが悪とも割り切れないのが現状です。当然、二子の被害は眼を瞑れるものでは有りませんが。

 様々とありましたが、もしかしたら最終的に一番恵まれたヒロインかもしれません。


 ・七星市子
 ・誕生日 1月1日(恐らく)
 ・身長165cm
 ・体重 46kg
 ・B85 W 52 H 87
 ・趣味 平成の怪しげな本集め、お菓子作り、杜花弄り
 ・特技 運動以外大体何でも出来る
 ・好きな食べ物 秋刀魚の梅煮
 ・嫌いな食べ物 牛肉

 困ったちゃん。杜花の為だけに存在するヒロイン。用意された死を歩まされた人。
 杜花同様、市子も殆ど杜花の事しか頭にありませんでした。彼女がもう少し寛容だったのならば、もっと大人しい流れになったでしょうが、そこは小説なので。

 幼少期から次代の王となるべく教育を施されており、一郎同様七星に負けは許されないという発想を持っていました。美しく、知性にあふれ、余裕があり、誰にでも好かれ、何事も瀟洒にこなし、他の追随を許さない、完全生命体である事を強要されました。
 アリスは元より、途中から適正ありと判断された早紀絵、そして杜花と姉妹を演じるよう仕組まれ、ただ七星の敷いた道を歩むことになった彼女は一番の被害者であり、事を大きくした張本人でもあります。

 作品冒頭、七星市子は天原アリスとの未来が約束されていたとありましたが、それは利根河撫子と大聖寺誉の関係性が過去そうであった事を再現しただけで、最初から杜花とつがいになる事を約束されていました。(当初利根河家と大聖寺家は既に懇意であり、七星の影響から(恵は旧七星の次女)能力が重視され、別に子供は他から貰ってくれば良いという考えで、法律外ながら結婚前提であった)

 何の憂いもなく歩んだ人生が、突如暗転し、死に導かれた彼女の心情は如何ほどのものだったのか。作中の杜花への執着が、それをそのまま表現しています。

 美人で天才で、挙句天性のマゾヒストです。
 杜花との性交は猫もかくやという様相で、一度交わると傷だらけである事も多々ありました。勿論杜花限定ですが、虐められるのが好き、罵られるのが好き、叩かれるのが好き、無理矢理指を突っ込まれるのが好き、挙句首を絞められるのも好きでした。更に言えば野外でするのも、人に観られそうなギリギリの所まで出てするのも、ともかく杜花にされる全てが好ましい、という驚くべき変態です。
 ちなみに、別段と男性は嫌いではありませんが、基礎として杜花しか見ていませんし、応用でアリスと早紀絵を好いている程度です。

 心象楽園/構造少女群像において、杜花が市子(二子)に手出ししない事が何を意味するのか、一番良く分かっていました。二子と兼谷は、市子データを覗き見て一応知識では解っていましたが、彼女達が思っている以上に、二人にとって性交は大きなファクターをしめていました。

【七星特殊性脳科学研究所基準 他者感応干渉(記憶改竄型思考介入特化) ESP強度A++】
 記憶改竄を基礎とし、思考介入で相手の思考を読みとることを得意としていました。発動範囲は一人から百人程。二子の数倍程度能力操作に長けており、能力暴走はまずありえず、100%任意での能力発動を可能としていました。また、人間関係を考慮して杜花以外の思考は殆ど読みとらず人畜無害でしたが、撫子に目覚め始めてからは情報収集の為に能力を行使して不特定多数から読み取っていた様子です。

 そもそも、利根河撫子の基本能力値は現在の判断基準で行くところ(特殊性脳科学研究所の判断指標)、Bマイナー程度でした。占拠事件で究極的に追い詰められた撫子は、死の直前に【大覚醒】し、その一時的な爆発エネルギーは判別不能のレベルまで引きあがり、人質に取られていた生徒、そして特にテロリストに多大な影響を及ぼした挙句、学院にその記憶を、まるで幽霊のように反映してしまいました。この時千里眼まで発動している可能性が高く、例え首を吊って生きていたとしても、脳にかかった負荷を考えると廃人であったと考えられます。

 一郎と兼谷の最大の誤算はここで、どうしても撫子に近づければ近づける程ESP強度が跳ね上がり、いざ大覚醒まで迎えた後の修正プログラム、暴走対策までした所で、現在の七星の科学力では抑えきれないものでした。
 ESPを取り除いてしまえば撫子ではなく、撫子に近づければ大覚醒してしまう、という二律背反の中、血のにじむ様な努力と犠牲を積み重ねてきました。

 彼女についてはまたサイドストーリーで。
 

 ・三ノ宮火乃子
 ・誕生日 7月6日
 ・身長155cm
 ・体重 40kg
 ・B75 W 50 H 73
 ・趣味 古本集め(漫画)映像鑑賞(アニメ)
 ・特技 リンゴの皮むき
 ・好きな食べ物 母の作る料理
 ・嫌いな食べ物 オイルサーディン

 元は全く関連がなかったものの、頭を突っ込んだお陰で利用されて利益を得た人。
 三ノ宮は一郎のお陰で七星と大きな確執があり、兎に角七星を出しぬく事に社運をかけていますが、都合上どうあっても七星は避けて通れない道なので、一応は協力する態を繕っています。
 火乃子は対七星の秘蔵っ子としてあり、大学卒業後は徹底して七星を叩く為に再教育される運命にありましたが、烏丸(七星分家)から嫁さんをぶん捕ったお陰で三ノ宮翁は大喜び、方針を転換するようです。

 作中、杜花を『素敵な上級生』として見る為に存在した彼女は、少しばかり独占欲が強かったあまりに今回の事件に首を突っ込んでしまいます。
 猫と破損結晶の関連性はほとんど偶然で、七星の意図ですらありません。そもそも、火乃子が魔術を執り行った時点で結晶は破損していません。つまるところ、二個目に杜花と二子が見つけた結晶と同様であり、結晶内のESP影響を不完全に受けただけです。
 支倉メイが結晶を破損させたのは二子が転校してくる直ぐ前です。杜花達が捜索する、兼谷が観神山を離れている、というタイミングでの破損でした。歌那多の腕が不調を起こし始めたのも、その辺りです。

 猫と記憶媒体(作中では記録媒体)ネタは、某事件発覚以前なのであしからず(書いたのは2012年10月)最近の推理小説とかにありそうですけど。

 七星の影響はだいぶと受けましたが、結果的に彼女は可愛いし大勝利です。


 ・末堂歌那多
 ・誕生日 12月12日
 ・身長157cm
 ・体重 41kg
 ・B80 W 51 H 82
 ・趣味 火乃子観察、瞑想、昼寝
 ・特技 足の指で箸を使って豆掴み
 ・好きな食べ物 お肉、魚介類
 ・嫌いな食べ物 稗

 大体市子の所為で痛い目を見た人。
 末堂家の末子ですが、猫かわいがりされて育ちました。身の回りの世話は全てメイドが行っていたので、冗談ではなく尻の拭き方すら怪しかった子です。

 その両親が彼女を手放し、観神山女学院に編入させたのも理由があります。
 末堂家は小売業の最大手で、アジア戦火から逃れて来た東南アジア人を多く雇っており、日本人との賃金格差を理由に、貧富格差是正を叫ぶ共産主義勢力にやり玉に挙げられていました。
 一時期末堂グループの店舗を狙ったテロリズムが激増、そこに巻き込まれたのが末堂歌那多でした。
 池袋にて大規模爆弾テロがあり、二百名の命が一瞬で奪われる事件が発生、その爆発のほぼ中心地に居たのが、丁度池袋本店に顔を出そうとしていた歌那多と世話係の井上です。

 井上氏に庇われたとはいえ、爆風で飛んできた看板に腕を持って行かれ、全身に破片が突き刺さり内臓を破損、皮膚は約二割焼けただれ、通常手術では助かりようのないものでした。井上氏は死ぬ間際まで歌那多の頭を保護していた事が幸いに繋がり、緊急手術で一命を取り留めた後、全身の皮膚を培養した自己皮膚にて修復、どうにもならない部分は幹細胞医療に頼り、内臓の一部を総とっかえしました。
 生憎腕は戻りようがなかった為、サイバネティクスに頼っています。
 彼女の保護の為にも、取り敢えず学生の間は強固な防衛システムのある学院に預けて、なおかつ人間としての生活力を養わせよう、という目的です。

 右腕以外にもトラウマを抱えており、何の用意もなく大きな音などを聞いた場合、動悸、発汗、吐き気、フラッシュバック等に見舞われます。

 恐らく個人において、一番大きな傷を負っている子です。
 作中にパーツ交換は直ぐ済み、火乃子と一緒に夜の御勉強をしている事でしょう。


 ・支倉メイ
 ・誕生日 4月20日(恐らく)
 ・身長150cm
 ・体重 48kg
 ・B87 W 55 H 88
 ・趣味 お相手漁り、料理、手芸
 ・特技 ソロバン
 ・好きな食べ物 チョコクレープ、きゅうりの浅漬け
 ・嫌いな食べ物 苦いもの

 不憫だけれど自由を許された、利根河撫子の中で最も奔放な人物。

 同世代の利根河撫子遺伝子複製体(以降複製体)は数十人に昇ります。七星分家支倉の子として預けられた彼女は、特に性に依存し易く、観神山にやって来るまで、以前の学校では男女数十人と肉体関係を持っていました。それでも収まりきらず、暇があれば相手を見繕ってひと気のない場所に連れ込み性処理をする、という度し難い性癖の持ち主で、仮の両親も頭を悩ませていたどころか、仮の両親にも手を出していた模様。
(性病も根絶していますし、避妊薬も安価で優秀な時代なので、相手を選ばずセックスするような人間が思いの外多いですが、彼女はニンフォマニアです)

 どう考えても不適合な彼女は、逆にそこに目をつけられたのか、杜花等に対する工作員として観神山女学院に編入、杜花達の行動を把握、逐一報告する任務を負います。杜花、アリスにはどうにも近づき難かった彼女は満田早紀絵に取り入る事を決意し、感応干渉にて刷り込みを行い、違和感なく接触する事になりましたが、ここで大誤算が発生します。
 求めて貰えれば出来れば誰でもよかった彼女が、真剣に早紀絵に対して恋心を抱いてしまった事です。

 遺伝子の記憶か、はたまた感応干渉の不具合か。単純に早紀絵のテクニックが異常だった所為か。大恋愛も大恋愛、今後早紀絵無しの人生など考えられない程にまで恋愛脳に毒され、挙句の果てに市子から使命を負って全部ゲロするという、七星にとってあまり宜しくない結果をもたらしました。

 遺伝子複製体は何かしらの精神的障害を発症する例が多く、障害とは行かずとも特に顕示欲や承認欲求が顕著に強い個体が見て取れます。
 メイは他者承認、下位承認欲求が異常に強く、結果性に依存して他者に認めて貰おう、必要としてもらおうと考えるに至ったと思われます。
 遺伝子複製体の数割は自分が『何者であるのか』と深く考えストレスを抱える事例が有り、自分が複製体であるかどうか、その真実を知らずとも悩む兆候にあります。
 七星としてもこの解決は命題であり、現存姉妹120人中100人は何かしらを患っているようですが、彼女達が個人になる日が来ない限りは付きまとうでしょう。

 爛れても腐っても複製体は複製体。七星も積極的に彼女を処理するような真似はせず、好きにしろ、という態度でいます。きっとずっと自由でしょう。

【七星特殊性脳科学研究所基準 他者感応干渉(万能型) ESP強度C++】
 限りなくBに近い何か。何かに特化するでなく、本当にある程度の事は出来るけど強い干渉は出来ない、という器用貧乏感が否めない能力値です。他人との間に違和感なく介入し、情報を得るにはもってこいのものです。この能力は七星二子のESPを解析して作りあげたESPデータを脳内に埋め込む事で発動しているもので、この技術を用いれば誰でも超能力を行使可能です。ただ、人によって強さ、制御の有無は異なるらしく、本来ESP強度Aの二子のESPも、メイに乗せると下がる様子。

 休日はこの能力で、可愛い男の子女の子を見繕っては影に連れ込む、という事をしているとかしていないとか。彼女は自由です。


 ・兼谷(兼谷恵)
 ・誕生日 不明
 ・身長172cm
 ・体重 50kg
 ・B84 W 56 H 79
 ・趣味 映画鑑賞、服飾
 ・特技 家事全般
 ・好きな食べ物 筑前煮
 ・嫌いな食べ物 命令があれば何でも食べます

 利根河恵の遺伝子複製体。プロジェクト撫子以前の次世代記録媒体第一世代。

 市子二子について全権を任された執行者。戸籍は存在せず(作ろうと思えばいくらでも作れるが、必要性がなかった為)、容姿も利根河恵とは違い西洋人風に整形されています。
 一郎の要求に応えられるように、肉体は殆ど改造済みで、身体能力は格闘技を長年たしなんだ成人男性を優に超えます。

 遺伝子複製体として産まれた彼女は、直ぐに最初期の記録媒体を埋め込まれ、利根河恵が辿った人生を改めて辿らされました。全ての準備を済ませて挑んだ市子とは違い、途中経過においては撫子の復活以上に困難を極めました。

 七星内で進歩した異例の技術によって、完全に調整が済まされている為、一郎も頷く程に利根河恵に迫っています。対杜花戦においては、かなり積極的な性格を露わにしていますが、本来はもっと大人しく、夫を支える貞淑な妻としてあります。
 また、失敗作の烙印を押された恵の複製体は殆どが七星のメイドとして働いており、その統率も任されています。

 全ては七星一郎の為、全ては愛する夫と娘の為。その記憶が作られたものであったとしても、兼谷は一切疑いませんし、真心から一郎を信じています。ただ、その結果齎された悲劇については、また考える所がある様子です。(サイドストーリーにて、そのあたりは)

【七星特殊性脳科学研究所基準 他者感応干渉(万能型思考介入特化) ESP強度B++】
 これもESPデータですので、劣化版二子ですが、兼谷の場合相手の思考を読みとり、改竄し、戦闘において相手の意識をすり潰すような用い方をします。全ては市子二子をサポートする為の能力です。
 二子には及ばないものの、その操作は二子を凌ぐもので、範囲は少ないものの、一個人においては絶大な威力を発揮します。
 もし杜花に耐性がなかった場合、間違いなく兼谷の思い通りにされました。


 ・三ノ宮風子
 ・誕生日 10月1日
 ・身長155cm
 ・体重 45kg
 ・B80 W 52 H 81
 ・趣味 運動
 ・特技 打撃連携からの奇襲タックル
 ・好きな食べ物 鰻、鱸、鮪、鯵
 ・嫌いな食べ物 細魚

 一般人。狂人達の中で一番まともな人間。大体市子の所為で割食った人。

 杜花は三ノ宮の娘さんを引きつけるフェロモンでも出しているのか、確実に火乃子以上に杜花へ御執心だった風子です。容姿は火乃子そっくりですが、笑顔がパッシブで、行動はアクティブで、強く健康的な女性をうらやむ現代女性の鏡のような人。

 総合格闘技でも東北地区三位の実力で、特に下半身は特筆するべき強さがあり、風子に対してタックル等は自滅行為に他なりません。

 現代女性の鏡のような彼女はバイセクシャルで、自分より強くカッコイイ人は男も女も好きです。
 その中でもやはり突出していた欅澤杜花は、中等部時代から目をつけており、高等部に上がると同時に声をかけました。目的もなく鍛錬だけを続ける杜花に指標を与えた人物であり、仮初にも杜花に客観的な自信を与えた張本人です。潜在的にマゾヒストなので、サディストの杜花が気になって仕方が無かったのかもしれません。

 三ノ宮に関しては全て火乃子に任せる気でいる為、観神山卒業後は東京の国立大学に通いながらブラブラとする予定でいます。ただやはり杜花は忘れられないらしく、一世一代の暴挙に出ました。

 欅澤杜花に人間を実感させてくれた人物であり、その役割は早紀絵にも劣りません。早紀絵との違いといえば、早紀絵以上に市子を恐れていた事でしょう。三ノ宮のトラウマとも言うべき七星ですから、幼少のころからアイツラどんだけ畜生なんだと教えられていた筈です。

 彼女は七星のシナリオに一切触れる事もありませんでしたが、杜花に影響を与えたという意味では、間接的に計画破綻を招かせた人物であることは間違いなさそうです。


 ・鷹無綾音

 杜花達の上級生。

 生い立ちから戸籍まで全部偽造。ESP強度Sクラス(恐らく自然干渉系)の判別不能な能力を持ち、七星もどこかの組織のスパイであると把握しながらも、手出しを躊躇いました。感応干渉も弾いてしまうらしく、思考が読めないと兼谷から報告を受けた一郎も、邪魔をしない限りは接触不要と推薦。
 学院改竄時も、完全に自意識を保っていた模様。

 唯一解っている事は、猫が好きだと言う事ぐらいです。(その辺りはサイドストーリーにでも)




 おまけ


 ・利根河撫子
 ・身長165cm
 ・体重 45kg
 ・B85 W 53 H 86
 ・趣味 ト本集め、お菓子作り、花弄り
 ・特技 大体何でも出来る
 ・好きな食べ物 鰯の梅煮
 ・嫌いな食べ物 牛肉

 愛すべき大いなる一。現七星の夢。杜花達の希望と絶望の体現。

 旧七星の娘である恵と、一般家庭の真の間に生まれた長女。
 家族関係は非常に良好で、理想とすべき中流家庭の見本のような家庭でした。
 恵は七星とはいえ、七星大躍進前ですので、今ほどは恐れられていませんでしたが、それでも大きな財閥の娘です。しかし恵はあまり七星に頼らず、普通の家庭に入る事を決意し、研究所で働いていた利根河真と普通の恋愛をして結ばれます。
 妻は貞淑で心優しく、夫は仕事に熱心で家族愛にあふれ、娘は誰よりも美しく育ちました。

 事件当時、真は研究所に缶詰、恵は事件の知らせを受けていましたが真に連絡が取れずにいました。常日頃から自分よりも娘を案じるように言われていた恵は研究所に向かうより先に観神山女学院へと急行、後に連絡を受けた真が向かいました。
 何時になったら娘たちが助けられるのか、という両親たちからの圧力(当時政治家や警察幹部の娘も人質にいた模様)から、警察部隊が突入、テロリスト数名を殺害するも、校内に仕掛けられた設置トラップや大火力の火器に押し返され一時撤退。不用意な刺激によってテロリスト達が反感を抱き、人質を殺すのではないかと懸念される最中、リモコンカメラが映しだした校内の映像は、異常なものでした。

 テロリスト達が次々と倒れはじめ、中では狂乱し同士討ちまで始める始末。生徒複数人は頭に異常を訴え、校門近くで控えていた警察官数名が意識不明の重体に陥ります。
 校内で何事が起こっているのか、判断しきれないまま時間が流れ、自衛隊特殊部隊が参上、即座にテロリストの掃討が行われました。

 生徒死者6名。重傷者20名。
 テロリストに関しては20名中5名が射殺、3名が欅澤花に殺害され、12名逮捕とありますが、大半が精神崩壊しており、死んだ方がマシであるような状況でした。

 三島達が閲覧できる情報もかなり検閲されている為、実際の内情を知る人間はほとんどいないのが実情です。

 撫子は驚くほど才覚があり、旧七星本家からも目をつけられていました。また大聖寺誉という地方の豪農の娘と懇意であった事から、いずれは非公式にも夫婦(婦々)として七星本家に招かれる予定がありました。
 初代一郎から続く能力至上主義で、二人の子供は養子でも構わないだろう、というのが七星であるのは、当時から変わらない様子です。
 当然撫子も誉は好ましく思っていましたが、その気持ちの大半は欅澤花へと向いていました。誉も花もそれは察していたらしく、そこに花を慕う組岡きさらまで加わり、かなり複雑な人間関係であった事が窺い知れます。

 事件前に行われた宝探しは、そういった関係不和の是正の為に行われた様子ですが、結局鍵は見つからず、撫子も助言のないまま曖昧に終わりを告げます。
 撫子もこのままでは不味いと思ったのか、新しい妹達を迎えたお茶会を予定していましたが、その当日に占拠事件が発生、全ての関係は有耶無耶になり、皆が非業の死を遂げる結果となりました。

【七星特殊性脳科学研究所基準 他者感応干渉(万能型) ESP強度B-(大覚醒時S++以上、千里眼A+相当も発動)】
 人の考えている事が手に取るように解る。能力の鍛錬をしていた訳ではないので、実際はもっと劣る数値であったと考えられます。所謂フィクションにおける読心能力者の劣化版のようなもので、効果範囲も狭いものでした。ただ、本人も人を死に至らしめる力だと把握している所から、C++以上と判断。
 しかし死の間際、恐らくA+相当の千里眼を発動、そこにS++相当とされる他者感応干渉を乗せて反映するという、複合能力者でも長い鍛錬を必要とする能力が覚醒、校内を闊歩していたテロリスト等の神経回路を焼き切り、狂乱せしめたものだと思われます。
 また、同時期に己の心象を学院内に反映してしまい、映像フィルムのように能力の残滓が過去の映像を映しだし、学院の怪談話の元となる結果になりました。
 特に思い入れのあった小庭園にいたっては、踏み込むと常に幻視が齎されるような状況で残った様子です。七星もこれを把握し、庭園の維持に努めようと努力はした様子ですが、草刈り程度が限界で、それ以上の滞在は例え同系統能力者の反発力をもってしても抑えきれないものだったらしく、庭園の完全維持は叶いませんでした。




 そのほか


 サブキャラのあれこれも頭にはあるんですが出力してるとまた長い事になりそうなので、それはまた別にでも。

 心象楽園/School Loreは本来、もう少し小さな構想の下にありました。杜花は引っ込み思案で、二子相当のキャラはドSで杜花弄りに精を出す変態で、登場キャラも五人程度の、文庫一冊分を想定していたのですが、折角書くならもう、取り敢えず好きなもの詰めて好きな事やろうという考えに至り、ここまでやってきてしまいました。

 元から百合好きで、東方の同人などでもアレなものばかり書いていましたが、いざオリジナルだとどうだろう、と思い立ったのがきっかけです。趣味で小説は続けているけれど発表しないのも寂しいというのは、まあおそらく何かしら作る事をしている人ならば考えるかもしれません。
 幸いどこにでも人の目につく場所に作品を置ける時代になりましたので、十年前オリジナルをブログにおいて、読者数0という衝撃を味わって以来忌避していたのですが、良い時代になりましたね。

 で、百合、というものですが。

 ニッチといえばニッチで、しかし歴史は長い事ありますね。漫画も専門誌となるとあまり振るわず、休刊も多い様子です。
 BLに比べるとGLは規模が小さく、正しく秘密の花園の様相ですが、それだとやっぱり数が少なく、探して読もうと思っても手に入り難い、読みたいものがない、という選択肢の少なさが否めません。
 特に小説ともなると、百合姫などで連載していたものや、元からほそぼそと女性向けに存在するレーベルにまで踏み込んで探す必要があるので、百合男子とは言いませんが、ヘテロを好んでいた人がレズモノを読もうと思った場合、かなり遠出する結果になるように思います。

 いろいろとあまり突っ込むと商業的なアレとかになってしまうので大変ですけれど、逆に言えばまだまだ開拓する場所があり、目にとめてもらう機会もあると考えられます。
 最近のアニメは漫画などでも、少女しか登場しないものが多く有り、女性同士の友情やほの明るい恋愛感情を主軸としたものが大ヒットしている状況をみると、はやり問題は入口なんだろうか、などと思います。

 で、本作品が何か、と言われるとまた少し困るのですが、当方としては百合伝奇、という位置づけにしてあります。(たまにあるレズと百合の議論は頭にないです)
 少々ハードな世界観になってしまい、主人公もとても感情移入出来るようなキャラではないので、ニッチの中でも面倒くさい類の話だとは理解しているのですが、やり方如何ではこんなものもあるのだなあ、という漠然とした認識で読んでいただけたら幸いです。

 一先ず完結した心象楽園ですが、サイドストーリーを二本執筆中です。
 またこれを機会に百合小説ブログとして続けて行きたいと考えておりまして、オリジナルの短編を一本執筆中、読み切り連載を一本構想中です。

 今後出来れば同人誌になどして見たいのですけれど、他の活動もあるし日々の生活もあるので、まあ無理をしない程度に続けて行ければと考えています。

 心象楽園公開にあたり、協力してくださった方、応援してくださった方、有難うございました。感想、ご意見などありましたら、コメント欄、ツイッター等にお願いします。


 心象楽園/School Lore

 原作 俄雨


 査読、推敲協力

 蝙蝠外套氏(残酷綿棒 http://blog.goo.ne.jp/trigger_off)
 凡用人型兵器氏(妄想エリクシル http://28.pro.tok2.com/~bonyoh/)
 かたばみ氏


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